同じ血液型がひとつのグループに集まると、血液型の特性がホントによく現れます。私たちは普段、いろいろな価値観や意見を持つ人たちと折り合いをつけながら生活しているので、自分の価値基準だけで行動することは許されないことが多いのですが、血液型が同じだとそういうせめぎ合いが少なくなり、本来の特性を自然に表現できるからなのでしょうね。
これは、あるデザイン事務所の話です。スタッフ4、5名の小さな事務所なのですが、なぜかAB型男性ばかりが集まってしまったそうです。そしてそこでは、毎年の夏、スイカ割り大会を定例で行うのだとか...。
それを聞きつけたA型女性のMさん。ある年の夏、1度参加させてもらったことがあるのだそうです。Mさんはその日、A型さんらしく、何か手伝わなくちゃと、時間よりだいぶ早めに訪れました。
ところが、事務所の雰囲気はいつもと全く変わらず、
「今日はスイカ割り大会だね!」とか、
「誰が何を準備する?」とか、
「大きいスイカが手に入ったよ!」とか...
とにかく、スイカ割大会を目前にしたウキウキした会話など、一切交わされてないのだそうです。
(あれ、全然盛り上がってない!?今日じゃなかったのかしら?)
と不安になるMさん。
(だって、まさかこの事務所の中でスイカ割りやるの?)
(スイカも何処にも見当たらないんだけど...)
Mさんが頭の中であれこれ詮索しているうちに、時間も迫ってくるというのに、AB型オトコたちはやっぱり、シラ〜っと、いつもの仕事をこなしているだけです。
ところがしばらくすると、1人が立ち上がり、「じゃ、行ってきます」とだけ言って外へ出ました。スイカ割大会の約1時間前です。聞くと、彼は近くの公園に場所取りに行ったといいます。
(やっぱり今日やるんだ)
と、とりあえずホッとしたMさん。それならと、
「何か手伝うことありますか?」
と聞いてみたのですが、
「え?別にないよ、お茶でも飲んでていいよ」
なんて、つれない返事が返ってきただけでした。
そのうちに、1人が立ち、もう1人が立ちと、仕事の切れ目を見計らったように、しかし相変わらずどの人も淡々と、外へ出て行きます。どうやら、既に1人1人の役割が決まっているようで、時間が来ると各自が自主的に動き出し、手際良く事は運んでいるらしく、Mさんも最後の人に連れられて、スイカ割り大会会場に向かいました。
でも、Mさんは思います。
(なんか、随分淡々としたイベントね。もうちょっと盛り上がっても良さそうなものだけど...)
そしてその会場とやらは住宅街にある公園で、着いてみると、子どもたちがたくさん集まっているではありませんか。Mさんはすっかり顔がほころんで、子どもたちを交えて、ワイワイ楽しく過ごしたそうです。
そしてよくよく聞いてみたら、最初はただの思いつきで、数年前のある夏、たまたまスイカが事務所に届き、「スイカ割りでもやるか」ということになって、みんなでスイカを持って公園に行ったそうなのです。するとそこへ子どもたちが集まって来て、一緒にやったらすごく喜んでくれた。それで、「来年もやってよ!」って子どもたちにせがまれて、「そんじゃ、来年もやろう」と約束したのが、定例会の始まりなんだそうです。
「子どもたちと約束したからには、やらないわけにはいかない!」
そういうAB型的な正義感(?)において、誰も異を唱えることなく、全員一致しているわけです。グループで、この基本の価値観にズレがないと、スムーズなチームワークになるに違いありません。そういうわけで、毎夏のある日、何も言わなくてもツツがなく準備が進められ、子どもたちの為のスイカ割り大会が、小さな公園で行われているんだそうな。
Mさんは、AB型集団の行動の一部始終を眺めながら、その一貫してクールな言動に、少々戸惑いを感じたけれど、見知らぬ子どもたちのために、大の男たちが結束し毎年スイカ割り大会をやってるなんて、ちょっとステキだな、と思ったそうです。
AB型の、押し付けるでもない親切とか、優しさとかが良い形で現れた出来事ですが、AB型だけのグループだから、こんなふうに素の特性のまま表現されたのではないでしょうか。
それにしても、蒸し暑い都会の喧騒の中で、こんな爽やかなイベントが人知れず行われているなんて、ちょっと気分が清々しくなりますね。