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A型の律儀さにはただ敬服するしかない。


友人から紹介されて、すっかり意気投合した中国人女性のA型友人がいます。彼女は北京に住んでいて、本職はカメラマン。日本と中国を行ったり来たりしながら新規ビジネスのルートを作って活動していました。


あるとき、彼女が日本に来たのを知って連絡を取ってみると、日本の“お父さん”が倒れて駆けつけたというのです。中国人が日本に長期滞在するには、日本人の身元保証人が必要です。中国人たちは、その方たちを日本のお父さん、お母さんと呼んでいます。


私は同情しながらも、少しぐらいなら会う時間を作ってくれるだろうと思い、彼女に何度か連絡を入れました。しかし彼女はきっぱり言うのです。

「お父さんは危篤状態でいつどうなるか分からないのです。今は、とても会う余裕がありません」


医者からはもう回復の見込みがないと告げられ、しかし、お父さんは苦しみながらも頑張って生きている。彼女は、いつ逝ってしまうか分からないお父さんに会いに、毎日欠かさず病院に通っているそうなのです。


それから4ヶ月ほど経った頃、その後どうしたろうかと思い、再びメールを入れてみました。すると、今もまだ、毎日病院に通う日々が続いていると言うではありませんか!

「もう、120日以上通っています。他の家族は(つまり本当の血族ですよね)、皆だんだん来なくなったけど、私にはお世話になった恩人に対してそれができません。私には、信念があります」


なんという…A型の信念、そして忍耐強い頑張り。実は、とてもよく似た話しがありました。これは、私にとっても、研究センターにとっても、非常に辛い出来事でした。


当時、私たち研究センターは、10年ほどの歳月をかけて韓国のとある出版社と、血液型人間学を韓国に広めるために協力し合っていました。その出版社には、私たちの研究に心から賛同してくれ、お互い“同志”として、深く友情を温めてきたA型の室長さんがいました。


「このプロジェクトが成功したら、2人でマッコリを飲み明かしましょう」

「その日が楽しみです。それまで、私は毎日お寺にお参りに行きます」


そうして会う度に、涙ながらの契りを交わしたチングでした。しかしあるとき、ソウルに行ってみると、社長(B型)が気重そうに私に言います。

「室長は辞めました」

「・・・ええ っ?」


理由は、彼女のお母さんが、脳梗塞で倒れたからだというのです。半身不随になってしまった彼女のお母さんは、1人では何もすることが出来なくなってしまいました。他の兄弟や周囲は、介護してくれる施設に預けた方がいいじゃないかと彼女を説得したそうです。しかし彼女は

「私はずっと一緒に暮らしたお母さんを他人に預けることなどできません!私が1人でも面倒を見ます!」

そう決意し、毎日お母さんを背中におぶって、病院に連れて行ってるのだそうです。


「仕事のことも、能見先生や市川さんにも、本当に申し訳ないと思うけれど、私はお母さんの面倒を看ると決めました」

そう社長に告げて、去っていったのだそうです。


室長の心情を思い、そして同志を失ったショックで、私は、ただただ絶句しました。正直にいうと、私としては、何もそんなにきっぱりさせなくてもいいじゃない?看病もして仕事もその合間でするような工夫はできないの?


合理的なAB型の私としては、そう言いたくなる未練が、タラタラとあったのでした。だけどA型さんは、B型やAB型のように、2つのことに同時に気持ちを傾けるような、そんな適当なことが出来ないのでしょう。


考えてみれば、こういう室長の信念があったからこそ、血液型人間学を韓国に広める土壌を作れたのです。彼女がこの研究活動に、どれだけ貢献し、どれだけ時間と思いを費やしてくれたことか。


ああ、こうしてここにも、信念を貫こうとするA型さんが、また1人居たのでした。私は、2人のA型の友を思い、ただただ、敬服し、哀しみをこらえて、静かに見守るしかないのでした 。

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