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A型の火事場の馬鹿力

日本は自然災害の多い国。季節になれば、必ずと言ってよいくらい台風の被害にあう地域がありますし、日本全国、地震の脅威にも常にさらされています。この夏もやはり、災害に見舞われた人々が数多くいます。


そんな被災地のニュースを聞くたびに、思い出すことがあります。それはSさんというA型女性の若い頃の話しです。ときは戦後間もない1947年、栃木県、群馬県を中心に甚大な被害をもたらしたカスリーン台風というのがありました。Sさんの住んでいた町も、ほとんどの家が屋根まで浸水する大洪水になったのだそうです。


押し寄せてくる水に逃げ場を失ったSさんは、2階の屋根の上に必死で避難しました。すると、男の子が溺れているのを見つけました。Sさんは、次の瞬間には水に飛び込み、男の子を無事に救出したのです。


ところが彼女、全く泳げなかったのだそうです。

「あの時は必死で、自分がカナヅチだということさえ忘れて飛び込んじゃったの。どうやって助けたのか自分でも覚えていないのよ」

Sさんは当時のことを振り返り、笑って言いました。


普段は慎重過ぎるぐらい用心深いのがA型さん。ああなったらどうしよう。そうなった時のためにこれを準備してと、日々、気に病むことも多くなります。ところが、いざという段になると、それまで右往左往していたのがウソのように、最も冷静で、大胆不敵、勇気ある行動をする人が、A型に多いのです。


わたしたちの人間の脳には、緊急事態を察知すると特別な力を発揮するしくみがあるそうです。よく言う、"家事場の馬鹿力"です。これにはA型が、よくその力を見せてくれるようです。


もちろん血液型を差し引いても、Sさんの行動は誰もが真似できるものではないでしょう。わたしはSさんと違って、泳ぎには自信がある方ですが、果たして窮地にあって、自分の命をかえりみずにSさんのように行動できるかどうか、まるで自信がもてません。


そんなA型気質を知っているわたしは、A型さんが何かで心配ごとを抱えているのを見ると、よくこの話しをして励ますのです。

「いざとなれば、最も頼りになるのはA型なんですよ」


すると案外、A型自身も納得することが多いのです。

「ああ、確かに、わたしにもそんなところがあるかも...」

それまでの人生の中で、一度や二度、たとえちょっとしたことでも似たような経験があるからではないでしょうか。


ところが人間って...それはA型に限りませんが、分かっていてもなぜか同じパターンにハマってしまうものらしく、なかなか心配ごとを無くすことは難しい、というのが、A型の悩みのタネでもあるようです。


ですからA型さんにお伝えしたいのは、「自分はいざとなれば出来るんだ」ということを、頭の隅に置いておいて欲しいということなのです。そして身近にA型さんがいるのなら、そんなふうに励ましてあげると、きっと、いざという時には、本領を発揮してくれるはずです。


そうそう、実を言いますと、このSさんというのは、わたしの大師匠、血液型人間学提唱者、能見正比古の奥様のことなのです。奥様はたいへん美しい女性だったのですが、能見正比古はその美しさもさることながら、彼女のそんな勇敢さに惚れたのだとか...。








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