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Chieko.I

質問少年なA型さん


今はもう、メールで仕事のやり取りをするのは当たり前の時代です。しかし、インターネットが普及し始めた頃は、顔も合わせず会話もせずに仕事を進めることには、少々抵抗がありました。


たとえば、雑誌社などからメールで仕事依頼があったとして、こちらが何も要求しないと、一度も会わず、電話での会話もなく、へたをすると最後までメールだけで済まされてしまうことになるわけです。そりゃあ、先方の担当者にしてみれば、彼らは常に、複数の締め切りを抱えていて忙しいし、初めての取材先となれば、ややもすると相手は偏屈者だったりして厄介かもしれないし、メールで済んでしまうなら、その方が気が楽だし…というところはあるでしょう。


そういう気持ちも分からなくはありません。ですので、今では私もキッパリ気持ちを切りかえて、メールの良いところを最大限利用させていただいてもおります。とはいえ、正直にいいますと、私としては、扱っている題材が、『遺伝子』であり『人間学』であり、やや繊細で心の問題に踏み込むことも多いだけに、誤解をまねく記事にならないようにと何かと神経質になり、「これ、担当者にちゃんと伝わってるかなぁ」と、不安に思うことが少なからずあるわけです。


そんな折、ある雑誌で記事を依頼されたときのことです。担当の編集者は、40歳前後のA型男性でした。このA型担当者さん、めずらしく昔ながらの手法を用いてらっしゃるようで、最初から丁寧なお電話をくれて、企画の内容も細かく説明してくれ、我々の研究のことも事前にきちんと調べており、それはもう、しばらく味わったことのない安堵感を与えてくれる対応だったのです。


「やっぱり仕事って、丁寧なコミュニケーションがある方がいいわねえ」

と、私はしみじみ思ったのでした。


ところが、このA型さん、それだけでは済まなかったのです。とにかく、頻繁に質問の電話があるのです。夕方電話があったから、今日はさすがにもう大丈夫だろうと安心していると、

「あのう、先ほどの件をもう一度調べてみたんですが...」

と、夜になっても、何度も電話があったりするのです。熱心なのは、すこぶる嬉しかったのですけどね。


そして私は、

「このA型さん、"質問少年"だったのね」

と思いながら、ひとりクスクス笑ってしまったのでした。


A型の人は、仕事に完全性を目指すせいでしょうか。ちょっとでも気になることがあると、放っておけないらしいのです。「このくらい、適当でいいや~」とは、どうしても思えなくて、小さな不安は埋めなくちゃ…不明な点は確認しなくちゃ…、となってしまいます。


そういうわけで、A型には、やたら質問が多くなる人がいて、その傾向は子どもの頃からすでに見られます。我々は、そういうA型さんを見かけると、「質問少年」と呼んでいるのであります。有名どころのA型さんにも、「質問少年」はよく見かけるんですよ。


たとえば、福岡ソフトバンクホークスで捕手として活躍した、元プロ野球選手の城島健司さん(A型)。彼も新人の頃、相当の質問少年だったと聞いています。そもそも捕手が得意だったわけでなかった彼は、当時の先輩捕手の工藤公康さんや、監督だった王さんの部屋まで押しかけては、

「今日のあの場面ではどうするべきだったんですか?」とか、

「僕はこう思ったんですけど」とか、

もういい加減にしてくれよ~となるくらい、質問攻めにしたのだそうです。


日本人だけではありませんよ。あのハリウッドスターの、トム・クルーズ(A型)さんも、筋金入りの「質問少年」らしいです。彼もやはり、セリフを覚えながら疑問に思うところがあると、真夜中だろうとお構いなしに、監督を起こしてまで質問攻めにするのだそうです。


私の見たところ、こうした「質問少年」っぷりは、一生懸命で、向こうっ気の強いタイプのA型ほど、顕著なような気がします。しかし、そんなタイプのA型さんだからこそ、自分の道を極めていくのでしょう。


付け加えておきますと、このA型気質を"少年"とあえて言っているのは、これまでは男性のA型さんに目立つ傾向だったからです。もしかしたら、女性の社会進出が活発な昨今では、そんなA型女性も増えているかもしれません。


おそらく、その根にある基質は、男女ともに同じで、A型の『完全・完璧主義』の現れ方の一つであると考えています。


そういうわけで、もしもあなたが、そういうA型さんと共に仕事をする機会に恵まれたとしたら、「ウルサイなあ」などと思わずに、そのA型さんが仕事を完遂させるために、どうぞ快く協力してあげてほしいと思います。そしてA型さんとの仕事でなければ味わえない、『完璧さ』というものを、ぜひとも体験していただければと思うのであります。

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