自慢じゃぁないですが、ワタクシ、筋金入りの方向音痴です。例えばどこかの店に入ったとすると、出るときは、必ずといっていいほど、入った方向と逆向きに出てしまうのです。
ある友人は、
「どんな場合でも、キミが行こうと思ったのと逆に行けば、それが正しい方向だよ」
なんて、すこぶる的確な意見をくれました。
とりあえず、血液型のせいにして言い訳すると、AB型やB型には、けっこう私みたいな人が多いのです。ある調査によると、そもそも女性は男性に比べて方向音痴が多いらしいのですが、男性にもやはり方向音痴な方はいらっしゃるようで、そういう殿方というのは、B型だったりAB型だったりすることが、多い気がするのです。
一方、こうしたことにめっぽう強いのは、A型男性陣です。とにかく彼らときたら、道を覚えるのが得意でして、一度しか行ったことがなくても、後からかなり正確な地図まで書けてしまうのです。これは、いかにA型さんの、周りに対するレーダーが精密かっていうことを証明しています。つまり、道順どおりに、主要な建物や目印を、細かく記憶しているのです。
A型遺伝子は、密林や森林地帯に適応してきた遺伝子だと仮説を立てていますが、深い森の中で道に迷ったりすれば、命に関わる大変なことになりますからね。
では、O型さんはどうかというと、本人いわく、案外自信がないという人もけっこういます。ところがO型には「映像記憶」という、素晴らしい能力があるのです。とにかく彼らは、見た物を写真のように覚えてしまいます。そのため、道順までは細かく覚えていなくても、その場に行くと「あ、ここを通った」というふうに、映像記憶を頼りにたどり着けてしまうというわけです。
ある時、O型の人と待ち合わせをしました。駅からの道を電話で歩きながらたずねると、「赤い看板が見えるでしょう?」とか、「黄色い屋根の花屋があるでしょ」とか、ポイントを抑えた説明が実に分かりやすく、「おお、さすがO型~」といたく感心したのでした。
ああ、それに比べるとB入り族ときたら...。どうも頼りない。まあ、それもさもありなんでして、B型さんの場合、草原を駆け巡る『遊牧の民』として適応力を育んできたフシがあるわけで、広い大地では、覚えようにも道も目印もなく、映像記憶もあまり役に立ちそうにありません。彼らの旅は、東西南北と風の音、空の様子が分かれば充分だったのです。
とはいえ、B型の人は、「地図さえあれば!」とか、「誰かに聞けばいいし」とか、楽天的な人が多くて、「何とかなるさ」と、どこへでも気軽に行ってしまいます。たとえばそこで「地図を書きましょうか?」なんて親切を言ったとしても、「いえ、何とかなりますから大丈夫です」と、大概のB型さんは断るのです。これもまた、遊牧の民の強みなのかもしれないですね。
それでAB型はというと、A型部分も持っているのだから、もう少し何とかならんのか?とも思うのですが、どうやらA型的な精密レーダーは、AB型では巧く働いていないようです。
しかし最近は、ナビのおかげで方向音痴でも目的地にたどり着くことが、それほど難しくなくなりましたよね。私にとってはありがたい世の中となりました。
それで、これを書きながら、ふと思ったのですが...もしかすると方向音痴って、人生の旅路においても言えることなのでしょうか?考えてみれば私の人生、いつも人と逆の道を進んでいたような...。
「キミが思ったのと逆を行けば、それが正しい道だよ」と言った友人の言葉を、この歳になって、しみじみ噛みしめるのであります。